探偵事務所における調査方法はさまざまであり、依頼内容や状況によって最適な方法が選ばれます。本記事では、一般的な探偵事務所で行われる調査を「尾行・張り込み調査」「聞き込み・情報収集」「デジタル調査」「法律調査」「物証調査」の5つのカテゴリーに分け、それぞれの内容やポイントについて解説します。

1. 尾行・張り込み調査

尾行・張り込み調査は、探偵の最も基本的かつ重要な技術の一つです。対象者の行動や場所を把握し、浮気調査や素行調査、失踪者の捜索などで活用されます。

・主な目的と活用場面

尾行・張り込み調査の主な目的は、対象者の行動パターンや居場所を確認することです。浮気調査では対象者の不貞行為を明らかにするため、また素行調査では普段の行動習慣や交友関係を把握するために行います。

・手法と注意点

尾行調査では、対象者に気づかれないようにするため、慎重かつ柔軟な対応が求められます。尾行中は複数の探偵が連携して役割分担し、あらかじめ決めた合図を用いながら距離を保って行動するのが基本です。張り込みは、対象者が出入りする場所を特定し、長時間にわたる観察と記録を行います。特に尾行や張り込みは、法律に反しない範囲で行うことが求められるため、探偵には高度なプロフェッショナリズムが必要です。

2. 聞き込み・情報収集

聞き込みや情報収集も探偵の重要な調査手法であり、対象者や周辺の人物に関する信頼性のある情報を収集します。これは人探しや信用調査で特に役立つ方法です。

・主な目的と活用場面

聞き込み調査は、人探しのための人間関係の追跡や、ビジネスパートナーの信用調査などで活用されます。また、浮気調査や結婚調査の際には、対象者の周囲の人物（近隣住民や同僚など）からさりげなく情報を得ることで、生活や交友関係のヒントをつかむことが可能です。

・手法と注意点

聞き込みでは、不審に思われないように自然な会話を装いながら質問を進める技術が求められます。例えば、人探しであれば、対象者がよく訪れる場所や交流がある人物などを調べます。また、情報の正確性を保つために、複数の情報源を確認し、裏付けを取ることが重要です。

3. デジタル調査

デジタル調査は、インターネットやデジタルデバイスを活用して、対象者に関するデジタル上の証拠を収集する方法です。SNSやスマートフォンの普及により、オンライン上での調査が依頼内容に含まれるケースが増えています。

・主な目的と活用場面

デジタル調査は、浮気調査や素行調査だけでなく、企業の不正調査やサイバー犯罪調査にも用いられます。特に、SNSやメール履歴の確認、スマートフォンの位置情報の追跡などにより、対象者の行動や交友関係を把握することができます。

・手法と注意点

SNSの公開情報やブログ、フォーラムなどから情報を収集する場合は、公開情報であることを確認し、プライバシーを侵害しないようにする必要があります。スマートフォンの解析や監視は法律で規制があるため、許可のない操作や追跡は厳禁です。デジタル調査を行う際は、常に法律に則って実施し、不正な方法で情報を取得しないように細心の注意を払います。

4. 法律調査

法律調査は、調査結果が法的に利用できる証拠としての信頼性を持たせるために行うものです。調査の正当性や証拠の法的効力が問われるケースでは、探偵が知識を持って法的に適切な手続きを踏むことが重要です。

・主な目的と活用場面

例えば、浮気や不倫の証拠を裁判で提出する場合、その証拠が違法に入手されたものであると無効となるリスクがあります。そのため、法律調査を行い、証拠収集のプロセスが正当なものであることを確認します。また、企業調査では、不正行為の証拠を適法に収集し、証拠として法的に利用できる形に整えることが必要です。

・手法と注意点

法律調査では、調査過程での法律違反を避けるため、適切なプロセスを確立することが求められます。例えば、民事裁判で利用するための証拠収集では、探偵事務所が独自の法務担当者と連携する場合もあります。常に法律の範囲内で調査を行い、依頼者に対してもリスクと法的な問題についてしっかりと説明することが大切です。

5. 物証調査

物証調査は、目に見える証拠や痕跡を集める調査方法で、浮気調査や犯罪調査、失踪者の捜索で活用されます。物的証拠があることで、依頼者に対して調査結果をより確実なものとすることができます。

・主な目的と活用場面

物証調査の対象としては、たとえば写真や音声の記録、通話履歴、物理的な痕跡などがあります。これらは裁判でも重要な証拠とされるため、質の高い物証を確保することが重要です。失踪者の捜索では、生活痕跡や最後に目撃された場所からの手がかりを追い求めるのが一般的です。

・手法と注意点

写真や音声の記録を行う際には、対象者のプライバシーや肖像権を侵害しないよう細心の注意が必要です。また、物証は適切な方法で取得・保管し、改ざんがないことを証明する手順を踏む必要があります。証拠の信憑性を維持するためにも、調査結果を法的に有効な形で依頼者に提出できるように注意します。

探偵事務所への依頼にあたっての注意点

探偵事務所に調査を依頼する際には、調査手法が法律に違反しないことを確認することが重要です。信頼できる探偵事務所は、法的なリスクを理解し、違法な調査を行わないことを約束してくれます。また、依頼者とのコミュニケーションを重視し、調査の進捗や結果について誠実に報告する姿勢があるかも、重要なポイントです。

探偵事務所の調査方法は多岐にわたり、依頼内容に応じた最適な手法が選ばれます。依頼者としては、それぞれの調査方法の特徴や目的を理解した上で、適切な依頼を行うことが求められます。